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2006年9月15日 (金)

「獣医ドリトル」(4) 安楽死

 夏 緑 作,ちくやま きよし 画(2006.8.1).小学館.ISBN4-09-180485-3.505円(税別).

【裏表紙の説明】
 「ペットを飼う場合,避けて通れないペットの死。さらに,その安楽死にはペットにも飼い主にも辛い選択が待つ・・・ 物言えぬペットに映し出された人の心をも治療する,敏腕獣医・ドリトル。降りかかった最大のピンチに,命に対する責任のあり方を問う。」

【目次】
 カルテ1:回る犬
 カルテ2:顔の無い少女 ・・・・・・ 野鳥カラスをケガで保護。振り込め詐欺。
 カルテ3:セカンド・オピニオン ・・ ボーダーコリー。純血種でありながら社交的でない。
 カルテ4:外来生物法 ・・・・・・・ 糖尿病のアライグマ。
 カルテ5:要注意外来生物 ・・・・・ リスザル。アカミミガメ。
 カルテ6:帰巣本能 ・・・・・・・・ レース鳩
 カルテ7:正当な対価 ・・・・・・・ ヒマラヤン(猫)
 カルテ8:安楽死(前編) ・・・・・ 三毛猫
 カルテ9:安楽死(後編)

 カルテ1では,どうやらシリーズの悪役を担う男が登場。どんな乱暴な動物でも鎮めてしまうアナフラニルという薬と,その副作用の話が興味深い。

 カルテ3。純血種といえど性格はカタログ通りではない。心とはそんな簡単なものではない。が良い。「動物に心はあるか」といった西洋人の書いた本があるが,やっぱり心はあると思うね。どうも西洋人は人間は動物ではないと思っているフシがある。

 カルテ4では,ついに外来生物法が登場。運搬許可がないと動物病院にも連れていけない!といった話も出てくる(えっ?)。マイクロチップの注射に耐えられない幼齢や老齢,疾病中の動物には獣医師の判断で埋め込みが延期か免除でき,本編では老齢のための糖尿病でマイクロチップ埋め込み免除という話。そしてその病気があるが,通院不可能のため,薬をもらって自分で注射を打たなければならないといった話が出てくる。全く大変だ。アカミミガメやフェレットも同じことになるのだろうか。心配だ。逃がしてしまったときの罰則の話,そして「外来生物を飼うってことは,一歩間違えると様々な生物種の大絶滅を招く。飼い主はそれだけの責任を負わなければならないってことさ。」といったドリトルの台詞は説得力がある。そうそう,一応本文中に「要注意外来生物」としてフェレットの絵も登場する。ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)は本編では名だけの登場。

 カルテ5は,リスザルの話ではあるが,最後にアカミミガメが出てくる。1年前に台風で流されたミシシッピーアカミミガメ「カメ吉」を探していた他府県の飼い主の話。識別は甲羅の傷。しかしこの絵くらいの甲羅の傷では,脱皮で甲羅がはがれてすぐにわからなくなってしまいそうな浅い傷に見えるのが少々難点か。

 カルテ7は,飼い主による獣医師騙しのテクニック。自分で飼っているペットを,野良猫として同情を買って少しでも治療費をまけさせようとする(子供に使いをださせる)悪逆非道な親が描かれている。そして,そこでまけた獣医師が公正取引委員会に,不当廉売で調査を受ける(カルテ1の悪徳医師がからんでいる)。善意の行為が不当廉売の対象になるというのも,確かに説明を受ければ納得はするが,まったくびっくりではある。もちろんフィクションではあるのだが。

 カルテ8・9。名台詞続出。「ペットのことを一番わかっているのは飼い主だが,ペットの病気を一番知っているのは獣医だ」。「安楽死自体は動物を救うために必要な場合もある。問題なのは安楽死そのものではなく飼い主の罪悪感をなくしてしまうことだ。辛いことも含めてペットの生涯をすべて受け止める覚悟をする。それが命を預かるものの責任だ」。今は亡き,UFOキャッチャーの肺炎のアカミミガメ(名はUNI),初代カムイ,二代目カムイのことを思わずにはいられない。3匹とも安楽死せず最期を看取ることが出来たが,確かに辛かった。最期の呼吸・声が焼きついている。しかし最後まで生きようという意志をみたことは,何かしら糧になっているような気がする。また,残された個体・次の個体への確実な改善に役立っている気もする。

2006-09-14 懶道人(monogusadoujin)

【追記】
※ amazon.co.jp でオンライン購入する場合はこちら → 【獣医ドリトル 4 安楽死】

ほかの巻
【獣医ドリトル 1】 【獣医ドリトル 2】 【獣医ドリトル 3】

【作者のホームページ】
http://www.geocities.co.jp/Playtown/1484/
作家・夏緑(なつみどり)のHP

http://www.geocities.co.jp/Playtown/1484/sakuhin-doritoru.html
同,「獣医ドリトル」作品紹介のコーナー
 各々の作品の概要,またコミック未収録のものの説明もある。

http://blog.livedoor.jp/chikuyama/
マンガ家ちくやまきよしのホームページ

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